得する植木屋さん情報
樹木医コラム

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樹木医によるお庭のお助け情報局

こちらでは、当社に在籍している樹木医からのアドバイスやお役立ち情報を定期的に掲載していきます。
「こんなときどうするの?」「自分の手入れが不要な樹木ってあるの?」など、直接お問い合わせいただいた内容をもとに作成しておりますので、図鑑などには載っていないお役立ち情報が満載!
ぜひ植木・庭木の植え替えやお手入れ時などにお役立てください。

コラム4:水やり
メールで「水やり」に関する質問を受けることがとても多い。
「水やりはいつやるのがいいのですか?」
「どれぐらいやればいいのですか?」
「毎日やらないとだめですか?」という質問が多い。
今回は一般論となりますが、水やりのポイントを整理して記述します。
【鉢 物】
春と秋は土の表面が乾いていていたら午前中に水やりを行います。ポイントは毎日決まったように一律に水やりするのではなく、鉢土が乾いたものにだけ行うことです。
また、水は葉や花にかからないようにし、鉢底から流れ出るまでたっぷりと行うことです。
夏は朝に水やりを行い、乾燥が激しいようなら夕方にも行う。
朝の水やりは春と同じだが、夕方は夜の温度を下げるため葉にもかけるように行う。
ただしこれらは一般的な草花や花木についてで、多肉植物、ランなど特殊な植物の水やりは異なりますのでご注意ください。
コラム3:木を枯らす
植木屋は木を育て、維持し、植えつけるのが主な仕事だが、伐採の仕事も多い。特に春から夏には「木を切り倒して欲しい」という依頼が多くある。たいがいは実生で大きくなった木だ。関東地方では、シュロ、ムクノキ、アカメガシワ、エノキ、トウネズミモチなどが多く、隣家との狭い敷地に生え大きくなって困って電話してくる。シュロは成長点が頭にしかないので伐採すればもう生えてこないが、その他の木は根元で伐採してもすぐ切り株から新しい芽を幾本も吹いてすごい勢いで成長してくる。根まで掘り取れれば一番いいのだが、狭くて作業できなかったり水道管などの地下埋設物を傷める恐れがあったりと、掘り取りできない場合も多い。 こうした場合に必要なのは木を枯らす方法だ。われわれは切り株を枯らす方法としてグリホサート成分の除草剤を使用する。具体的な商品名で言うと「ラウンドアップ」等で、切り株に原液を塗って使用する。この方法のポイントは、切り口が乾かないうちに塗ること、中心よりも樹皮に近い部分に塗ること、塗りすぎて周囲に除草剤を垂らさないこと、24時間は雨に当てないことだ。ドリルで穴を空けて液を流し入れたり、塗ったあとの切り株をビニールで覆うのも良い。ただし、冬は薬剤効果が弱く枯れないので注意が必要だ。 成長が早い木は材の密度が低く、枯れると比較的早い時間で腐ってくる。腐ってくれば地下埋設物などを傷めることなく容易に掘り取ることができる。シロアリの発生を考えると早めに掘り取るのが望ましい。 われわれは「木を育てる」と「木を枯らす」という相反する行為を日々行っている。ブラックジャックとドクターキリコを一緒にやっているようなものだ。植木屋は植物を人間の都合の良いように管理する職業なのだと痛感する。
コラム2:弱ったクスノキ
6月27日お得意さまからクスノキの様子がおかしいとの電話が入った。毎年手入れさせて頂いている道路沿いの植桝に植えられた高さ約7mのクスノキだ。いつもならこんもり葉が茂っているのに今年は春に落葉して元気がないのだと言う。 クスノキには「樟脳(しょうのう)」が含まれているため害虫や病気は比較的少ない。何かの薬害ではないかと思うが、このお客様は犬を飼っており殺虫剤などの農薬は使用しないはずだが・・?こんな事を考えながら現地に行って見ると、新葉は出ているがかなり弱っている。害虫にやられた跡は無いし病気とも違うようだ。お客様に話を聞くと、やはり除草剤などは使用していないという。う~ん。何だろう。誰かに除草剤でも撒かれたか?などと考えながら、樹のまわりをよく見ると植桝まわりのタイルに何やらシミがある。これは何ですか?と聞くと、「あっ、そういえば主人がバイクのオイルをこぼしたことが・・。」確定はできないが、どうも原因はこれらしい。こぼしたオイルは植桝の中に浸み込み、クスノキの細根を傷めたものと思われる。土の入替えが本来的な対処方法だが、周りのタイルを剥がすなど多大な費用を要する。幸い新芽も吹いていることからこれ以上弱ることはないと判断し、しばらく様子を見ることとした。 庭木は病気、害虫、気象以外に様々な人為的な害を受ける。木々はそれらに耐えて生きているのだ。早く元気になってほしいと願う。
コラム1:オガタマの「気むずかしさ」
6月7日、週末に植栽予定の苗木が業者から届いたが、その中にどうも枯れた木があるので見て欲しいと現場担当者がやってきた。
早速見てみると苗木はカラタネオガタマの2.5m物で、ほとんど葉が無く枝先も黒くなってきている。 業者は葉をふるっただけだと言っていたらしいが明らかに瀕死の状況だ。 カラタネオガタマは、日陰に耐え病気や害虫が少ない常緑樹で、バナナの香りの花が咲くことで人気の木だ。
花色が薄い紅の‘ポートワイン’、濃い赤紫の‘パープル・クィーン’などの品種があり当社でもよく植栽する。 欠点は移植が非常に難しいということで、鉢植えの株を庭に降ろすだけで葉をふるうことがあるほどだ。 通常は高さ1.5m以下を注文するためポット苗が入荷するが、今回はプランナーが高さ2.5mを注文したため、業者は圃場で大きくなった木を掘り取り持ってきたらしい。
こんな木を植える訳にはいかないので直ぐに連絡して1.8mのポット物に交換してもらうことにし、お客様にもご了承いただいた。 植物にはそれぞれ固有の「気むずかしさ」がある。移植を嫌う木、挿し木が難しい木、剪定を嫌う木など様々だ。
私たちは日々植物の「気むずかしさ」に向き合っている。

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