庭木・植木について
庭木・植木の1年間の管理作業
- HOME
- >
- 庭木・植木の1年間の管理作業
庭木・植木を年中美しい状態に保つには
ただ庭に生えているだけでは、庭木・植木とは言えません。庭木・植木は、見る人に季節を感じさせたり、癒しを与えてくれたりするもの。にもかかわらず、放っておいたために枝が無造作に伸びる、虫が付くなどしてすぐに枯れてしまっては、庭の美観を損ねてしまい、季節や癒しどころではなくなってしまいます。
庭木・植木ともに美しい状態を保つには、季節ごとにしっかりした管理が必要です。また、土壌や地形などにもより、月ごとに微妙な調整が必要になってきます。以下では、庭木・植木を年中美しい状態に保つための管理作業を月ごとにご紹介しています。
落葉樹が冬枯れで葉を落とし、休眠の真っ只中にある1月。
何かと外に出るのは面倒ですが、植物は春の芽吹きに備えた大事な時期を迎えています。
- もっとも重要な寒肥を行います。
これは、根の活動がもっとも低下している時期に、土の中で時間をかけて分解して栄養になる有機質肥料を与える方法で、根にダメージを与えることなく、最適な肥料をタイムリーに与えられます。
遅くとも、根の活動が活発になる2月上旬までに済ませましょう。
多くの場合、牛糞堆肥、鶏糞、骨粉などを与えます。
また、マツやカエデなどは害虫対策(越冬中のダニ・カイガラムシ・スス葉枯れ病・サビ病駆除)として、カダンK(アレスリン・マシン油)などを散布します。
春になり暖かくなると、樹木とともに病害虫も活発になってきます。
葉が出てきて見つけにくくなる前に、徹底対策をしましょう。
また、冬は庭木・植木の準備期間。
植え替えや剪定にも良い時期です。
- 1月下旬から2月半ばにかけての時期は、花木を植え替える好期です。
植え替えは、根を切ってしまう恐れがあるため、木の活動期を避け、休眠期に行うのがもっとも安全です。2月に入ると開花や開葉に向けた根の活動が始まるため、その前に植え替えを行い、花付きを損なうことなく春を迎えましょう。
ただし、2月は1年でもっとも寒い時期なので、植え替えにはそれなりの注意が必要です。
- 太い枝の剪定は、樹液の動き始める前のこの時期が適期。表皮が剥がれにくく、回復が早いからです。
幹に接した位置で切り、切り口を消毒しましょう。
暖かくなり始める3月は、庭木・植木を植える好期です。
失敗しないように、しっかり準備しましょう。
また、移植にも良い時期です。
- 大きな庭木・植木は植木屋さんに植えてもらったほうが無難ですが、苗木や低木などは自分で好みの場所に植えて庭造りの醍醐味を味わうのも良いでしょう。
居間に座って、あるいは門から玄関を眺めて「この辺にこんな木が欲しいな」と感じた場所に植えていくのが、自分らしい庭造りのポイントです。
- 芽出し肥えは、わずかに芽が動き出すこの時期に与えるのがもっとも効果的。
特に肥料を必要とするボタン・バラ・サツキ・クチナシなどは良い花芽を付けさせるために、この芽出し肥えを忘れずに。花の終わったものにはお礼肥えに即効性肥料の薄い液肥を与えましょう。
月の終わりから萌え出た新芽は、4月に入ると葉を広げて緑一色に変わり、芝生も生き生きとしてきます。
上旬にはサクラが満開となり、ドウダンツツジ、ザイフリボク、ライラック、ハナミズキ、カイドウなどが咲きそろいます。
- 挿し木というのは、枝の一部を切り取って地中に挿して発根させる方法です。
簡単に苗ができ、親と同じ形質のものが確実に得られますので、種子のできないものや枝変りのものを増やすのに良い方法です。
ただ、樹種によっては挿し木できないものもあり、また、時期を選びますのでそのあたりを心得ておく必要があります。
- アオキ、アジサイ、イヌツゲ、イヌマキ、キャラボク、エンコウスギ、マメツゲ、マサキ、ツバキ、 ザンカ、サツキ、リュウキュウツツジ、クルメツツジ、ドウダンツツジ、ネズミモチ
- ウメケムシ(サクラ・ウメ・モモ・カイドウなど)には要注意。枝の分岐点や小枝の先に巣を張るこの時期に駆除しておきましょう(焼殺・ディプテレックス剤散布など)。
広葉樹のウドンコ病にはトリフミン水和剤、葉先を縮めてしまうアブラムシ・新芽を食べるシャクトリムシにはスミチオン乳剤(MEP)やアディオン乳剤(ペルメトリン)を散布します。
サンシュユ、レンギョウ、モクレン、サクラと続き、これからハナミズキ、フジ、シャクナゲ、バラ、サツキ、ツツジなどの開花を迎え、新緑まぶしい百花繚乱の季節になります。
気温の上昇に伴って病害虫も活動を始めるので、注意深く観察して早期発見に努めましょう。
- 生垣は、手入れをしないで放任しておくと丈が高くなって横幅が広まってくるだけでなく、枝の出方が粗くなり、下枝が上がって寿命が短くなってしまいます。
これを防いで一定の高さと幅を維持し、枝葉を密生させるには、刈り込みが必要です。
1回目の刈り込みは、新芽が展開して新枝の伸び切った5月頃に行うのが一般的。
7~8月には徒長枝が出て形が乱れてしまうため2回目、3回目は10月くらいです。
以後は伸びが止まるので、3回は刈り込みましょう。
なお、樹種によっては異なる方法で行うこともあります(針葉樹は回数が少なくて済みますが、2回は必要です)。 - 枝に粗密があるところは、縄で誘引してから刈り始めます。
生垣の生長は一般的に上のほうが盛んなため上部を強く刈り、下枝は大切にしてやや幅広く仕上げます。角を付けるときは、見通して一直線になるように気を付けましょう。
竹ほうきで刈りくずをよく払っておかないと赤茶けて見苦しくなるため、最後の仕上げは大切に。
なお、刈り込みバサミをほうき代わりに使って葉を振るい落とすのは、やわらかい新枝を傷付けるため良くありません。
- ツバキやツツジに「もち病」が出ます。
ツバキの子房が肥大して桃の果実のようになったり、サザンカでは葉が肥大して耳たぶのようになったりします。
ツツジでは同じように葉の裏や枝が膨れて緑色から白色に変わり、ちょうど「焼きもち」のようになります。
元から切り取って焼き捨てましょう。 - 枝葉の汁を吸う害虫としてアブラムシ、グンバイムシ、カイガラムシ、ハダニがいます。アブラムシ、グンバイムシにはスミチオン乳剤の1,000倍を年6回以内で散布します。
カイガラムシは貝殻に覆われていて薬剤が浸透しにくいため、5~6月に発生する幼虫に対してスプラサイド乳剤40の1,000~1,500倍を年5回以内で散布します。
ハダニには発生初期にバロックフロアブル2,000倍を。薬剤散布は1回だけでは効果が出にくいので、10日間隔で3回は散布する必要があります。
特に葉の裏にかかるようにしましょう。
梅雨に入り、蒸し暑い日が続くと病虫害が発生しやすくなります。
晴れ間を見て、庭樹の整枝剪定を心がけてください。
日あたり、風通しが悪いとどうしても病虫害、特に病害が発生しやすくなります。
なお、挿し木には良い時期です。
- ツツジ類は花が落ちた後に花殻が汚く残るため、花後は早く整枝剪定や刈り込みを行いましょう(来年の花芽は初夏に形成されます)。
樹形を維持するためには、少々強く剪定しても大丈夫です。
なお、整枝剪定、生垣などの刈り込みが終わった枝は、挿し木に使うことができます。 - アオキ、ヤツデ、ナンテン、カクレミノなどは幹から不定芽(※ )を出す性質がありますので、この時期に葉の付いている節のところで切れば、新芽を吹いて仕立て直しができます。
大きくなりすぎた枝を元から切るか、あるいは切り戻して高さを調節します。
地際から伸ばして形を整えるのも良い方法です。 - ※ どこから出るかわからない芽のこと。
暑さと湿気の厳しい7月は、庭木・植木にとって厳しい月です。
水遣りと暑さ対策には、ちょっとしたコツが必要です。
- 庭木・植木などの樹木は、草花や鉢植えのものと違って根を深く張っています。
少量の水を毎日遣ると、かえって水分を吸収する細根は水を求めて地表近くで伸び、乾燥に弱くなるため、毎日水を遣らず、1週間に一度土壌深く水が浸透するように水遣りをしましょう。
具体的には穴を掘ったり、また「水鉢」といって根元に土を盛って水溜まりができるようにしたりもします。
保水性を高めるために、堆肥や腐葉土を土に混ぜ込むのも良いでしょう。 - 落葉樹を含めて7月に入ると、幹のあちこちから芽(不定芽)が吹いてきます。
そのまま放っておくと上部の勢力を阻害しますので、不要なものは切り取ります。
梅雨が明けた8月は高温乾燥の日々が続きます。
庭木も水不足になりがちで、葉が枯れたり、萎れたりしてきます。
水遣りには慎重さが必要であるとともに、この時期は腕を出して作業するため、人体に影響のある害虫にも注意が必要になります。
- 庭木・植木の葉には塵埃が付着しているので、ホースで圧力をかけて落とす(葉水)必要があります。
早朝か夕刻にホースの先を指先で強く押さえて水を圧送し、その力で葉を洗いましょう。水を遣る場合には、植え込みへホースの先を出しっ放しにして、たっぷりと地中に吸い込ませるほど与えます。 - ドクガ、イラガの仲間が多数発生しますので、注意して作業を行ってください。葉の裏に寄生していることが多く、見つけることが難しいものの、見つけ次第、葉ごと切り取り踏み殺しましょう。
この時期になると、やはり心配なのが台風です。
庭木・植木があるのとないのとでは、家に対する風当たりはかなり違います。
すなわち、庭木・植木(※ )が防風の役目を果たすのです。
※ 根がしっかりと大地に張っている樹木に限ります。
- まず、用心のため支柱を立てるに越したことはありません。
風で倒れやすい庭木・植木は、コウヤマキ、コノテガシワ、サクラ、サワラ、スギ、チャボヒバ、ヒノキ、ヒマラヤスギ、モクレン、アカシアなどの浅根性のものや、樹冠が繁りすぎているものです。既に支柱の施してあるものでも縄(しゅろなわ)が切れたり腐っていたりしていないか、点検しましょう。 - 台風は外海から来るものですから、潮風を含んでおり、強い暴風雨は砂塵や土なども含んでいます。
台風が過ぎたら、まず真水で洗い流してあげましょう。葉の裏まで水が行き渡るように洗い流すのがポイントです。
また、枝が切れたり倒れたりしてしまった木は、掘り起こしをしたり添え木をしたりしなくてはならず、かなり面倒で体力も使います。無理をせずに植木屋さんに相談するのも手です。
温度の低下とともに樹液の移動が緩慢になり植え傷みが少ないので、10月は植え付け、移植の適期となります。
また、この時期の食害は落葉期に入る前ですので、ダメージは少ないでしょう。
ただし、花芽を食害されると来春の開花が危ぶまれます。
- オオムラサキ、カルミア、カンチク、モクセイ、サツキ、サザンカ、センリョウ、ツバキ、ヒイラギナンテン、マテバシイ、モッコク、モチノキ、ウメモドキ、ウツギ、エニシダ、カイドウ、コデマリ、ナンテン、ニシキギ、ニワウメ、レンギョウ など
- 生垣は夏の間に刈り込んでおけばかなり整形を保ちますが、その後、秋の間にも少しは伸びます。
10月の下旬くらいに冬に備えた最後の化粧刈り込みをしておきましょう。
しかし、春に開花する庭木・植木は、大体10月中には花芽を付けていますから、刈り込むことによって花芽がなくなってしまう恐れがあります。
特に枝の先端に花芽を付けるサツキ、ツツジ類、ジンチョウゲ、サザンカ、ツバキ、などは刈り込まないように注意しましょう。
また、ユキヤナギ、レンギョウなどは枝にびっしりと花を付けますが、刈り込むことによって花数が減ってしまいますので、やはり飛び枝だけを抜くようにしましょう。
11月は落葉樹の植え付け適期です。
落葉樹は11月中にはほぼ落葉し、春まで休眠に入りますので、移植の好期です。
また、寒さに弱い庭木・植木もありますので、防寒対策も始めないといけません。
- アカマツ、オオムラサキ、カイズカイブキ、キリシマツツジ、クロマツ、サツキ、ヒマラヤスギ、ウツギ、ウメ、ウメモドキ、オオデマリ、コデマリ、カイドウ、カエデ、コブシ、コナラ、ドウダンツツジ、ニシキギ、ハナズオウ、ボケ、ユキヤナギ など
- 防寒は幹にワラを巻いて保護する方法と、囲いを作って寒風に当たることを防ぎ、地面にマルチングをして地熱の低下を防ぐ方法があります。
ヤツデ、カンチク、ソテツ、ヤシ類などはワラで樹全体を覆います。
この防寒方法は、従来から日本の庭で見受けられてきたものなので、主に寒冷地で目にしたことがあるかと思います。なお、雪折れを防ぐのには、また違う巻き方があります。
この時期は、庭木・植木の落葉もほとんど終わり、寂しく感じます。
この時期に幹枝を観察すると、害虫の卵があちこちに産卵されているのが見つかります。
来春になると一斉に孵化して大変なことになるので、今のうちに駆除しましょう。
- 直径1~2mmの球形をした卵を多数帯状に産卵するオビカレハ、産卵後、黄褐色の短い毛を山盛りに多数積み上げるマイマイガ、ウズラの卵を長さ1cmほどに小さくしたようなイラガのさなぎなどがよく目につきます。
剪定バサミや鎌などで擦り、卵などを潰してください。また、落葉を株元や庭隅に積んでおくと、害虫や病原菌の越冬場所になります。
焼却処分に出すか、庭を掘り土中深く埋め込んでください。
処理に困るほどの量がある場合は、植木屋さんに頼んでも良いかもしれません。
上記の作業のほかにも、剪定や施肥を定期的に行わなくてはなりません。
専門的な知識が必要になる剪定や毎月の管理をすべて植木屋さんにまかせるというのもひとつの手段です。
お庭をきれいに保つために、最善の方法を考えましょう。